「日本人の英語」

実はこの本、1988年刊行です。が、20年経った現在でも内容は
遜色ありません。
ということは日本の英語教育はこの20年(現在は違うかも
しれませんが)近く、全く進歩していないと言うこともできます。

私自身は「どうして今までこの本を手に取らなかったのだろうか」
と深く後悔しています。
この本は薄い、200ページ弱の新書です。その薄さから、日本人の
英語の欠点を並べた本の類であろうと、勝手に想像していたのです。

私が最も苦手とする「冠詞」の使い方を筆頭に、時制や関係代名詞
などの使い方を、間違った例と正しい文を並べて論理的に解説
してあります。
例えば、冠詞は名詞にアクセサリーのように「つける」ものでは
なく、逆に冠詞(意味的なカテゴリー)に名詞をつける という
ように考えるのだそうです。
「冷凍庫に入れる」が put it in the freezer なのに対して
「電子レンジに入れる」は put it in my microwave oven と
なるのはなぜか? その理由がわかります。

何よりも嬉しいのは、日本人の書く論文の添削の仕事もされて
いるため、日本人英語の欠点を知り尽くされているところです。
私は時々仕事で英語で論文を書きますが、この本に書かれている
ような間違いをたくさんしていたのに気付きました。もっと早く
知っていれば...。

表現は少し硬めで決してすらすら読める本ではありませんが、
驚くなかれ! 著者はアメリカ人ですが、この本(もちろん
日本語)、ご自身が日本語で書かれています!
なので、外国語で文章を書く難しさもご存知。
よくあるネイティブの「上から目線」の本ではないところも
嬉しいです。

後半は科学論文の例が多くなっていますが、それでも論文を
書かない方でも十分に役立つ内容ばかりです。
2009年の6月で59刷! 良書の証です。
「覚える」文法でなく、「理解する」文法解説書です。
  

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